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ひとりごと

風車(Windmill)という名の印刷機

Yです。
なぜ、アメリカでは風車(Windmill)と呼ばれているのでしょうか?

機械を観察してみます。

ORIGINAL  HEIDELBERGと書かれた大きな金属の板と関係あるのでしょうか?

赤いボールも、とっても気になります。

はじめてWindmillが動くのを見た時、予想外の動きに大変驚きました。
用紙を掴んでいるグリッパーという部分が、ぐるぐると回転するのです。
その愛称の由来となったのは、このグリッパーのアクションでした。
結構速く動くので、正確な動作を理解できるまで少し時間がかかりましたが、コマ送りで見ると良くわかります。

これがグリッパーです。
隠れていて見えませんが、反対側のグリッパーでは印刷を終えた用紙を掴んでいます。

グリッパーは、向かって左に回転していきます。

さらに回転して、左のグリッパーは用紙を掴む準備をします。
右のグリッパーは、印刷を終えた用紙を掴んで排紙台に向かいます。

左のグリッパーが次に印刷する用紙を掴みます。
右のグリッパーは、間もなく用紙を排紙台に落とします。
さらに回転して用紙を印刷位置まで運びます(最初の画像の位置)。
この時、圧胴が用紙を版(または熱板or抜き型)に押し付けて印刷完了です。

給紙のトラブル等で用紙を掴み損ねたまま印圧を掛けてしまうと、胴刷りと言って圧胴を覆っているシートに印刷をしてしまい、次の用紙の裏面を汚してしまいます。
機械を止める際は、まず印圧を抜いてから給紙を止めないと、胴刷りをしてしまいます。
慣れるまでこのミスは結構やってしまいました。

ORIGINAL  HEIDELBERGと書かれた大きな金属の板は、オペレーターがグリッパーに当たらないようにガードする役目と、緊急停止のスイッチを兼ねた安全装置です。
赤いボールは、印圧をコントロールするレバーで、印刷中にも細かな調整が可能です。
操作系は非常に無骨な印象ですが、永らく世界中で使い続けられている実績が証明している通り、大変合理的に設計されているなと感心させられます。

オールド印刷機に恋して

Yです。
埼玉県からはるばるやって来たハイデルのプラテンです。

活版(凸版)印刷の他、箔押し、型抜き、エンボスなどの加工機としても使える機能性が気に入りました。
給排紙を行なうグリッパーという部品の独特なアクションから、アメリカでは風車(Windmill)の愛称で親しまれています。
日本やイギリスではプラテンとも呼ばれますが、私は「Windmill」の愛称がとても気に入りました。

基本操作は前オーナーさんから丁寧にご指導頂きましたが、さらにスキルを高めたいとWebで調べたり、取引のある機材商社さんに聞いたりしましたが、なかなか欲しい情報にたどり着けませんでした。
週末も1日中検索しまくっていると、アメリカではLetterpress(活版印刷)のメンテナンスや、オペレーションに関する情報交換が盛んな事に気付きます。
意を決して英文を読み始めると、そこは情報の宝庫でした。
翻訳ソフトは大変便利ですが、プリンターで印刷してトイレに持ち込み、電子辞書片手に読んでる時が一番集中できます。(笑)

●活版の情報全般
http://www.briarpress.org/
イチオシです

●メタルベース、樹脂版、ローラーゲージの販売とマニュアル・パーツブックのダウンロード
http://www.boxcarpress.com/
おすすめ。個人輸入挑戦中。メール返信は遅い。
(迷惑メールフィルタに引っ掛かっていた模様。FAXを併用して無事取引完了しました)2010/7/30追記

●活版パーツ、消耗品全般
http://www.nagraph.com/storefront.html
メールの途中で音信普通になったまま。私の語学力の問題か?商品構成は魅力あり。
(こちらも迷惑メールフィルタに引っ掛かっていた模様。FAXを併用して無事取引完了しました。2回目の取り引きは何の問題も無く、USPS便でオーダーから約1週間で到着しました。商品構成が魅力的なので超おすすめです)2010/7/30追記

●用紙・ステーショナリー
http://www.crane.com/
個人輸入挑戦中。こちらもメールの返信は遅め。
(こちらも迷惑メールフィルタに引っ掛かっていた模様。FAXを併用して無事取引完了しましたが、出荷の遅れを連絡してくれなかったので困りました。また、一部の用紙の端に傷みがありました)2010/7/30追記

●Windmillの情報全般
http://heidelbergrepair.com/forums/forumdisplay.php?f=6
参考に。

●シリアルナンバーから製造年を調べるサイト
http://www.ddprintequip.com/Heidelberg%20SN%20New.htm
http://www.btmg.ca/serials.htm
ウチのWindmillは、1つ年下でした。

オールド印刷機 その後

Yです。
ご近所さんから譲り受けた活版印刷機のその後です。
6月4日にローラーを含め、頼んでいたパーツが届きました。
早速確認してみると、品番違いのパーツやら足りないパーツがありました。
また、排紙ベルトは輪ゴムのように輪になっていて、どうやって交換したら良いのか分かりません。
メーカーさんに連絡すると、出荷ミスの件はすぐ対応してもらえる事になりました。
が、、、排紙ベルトの交換方法について聞くと、「機械を分解しなければならないので、技術者でないと無理」との事。
それならば、技術者に来てもらおうと聞くと、「大阪までの出張は無理」との事。
「それなら注文時に言ってチョーダイ」と怒りたくなりましたが、こらえました。
交換の手順を間違うと機械を壊すと脅されましたが、新品パーツを捨てるわけにもいきませんのでこちらも意地です。自分で交換する決心をしました。
機械いじりの趣味で集めた工具たちのお陰で何とか無事交換できました。
あとの部品交換は楽勝です。鼻歌まじりで交換を終えました。

印刷の済んだ用紙が、オレンジ色のベルトの上に乗って排紙されてきます。無事交換完了!

仕上げに最終調整です。
まずは、インキ付けローラーと版(活字)との接触圧で、強すぎても弱すぎてもダメです。
オフセットとは調整の仕方が異なり、インキ付けローラーが転がるレールの高さを上げ下げします。低すぎると印刷しない部分にもインキが付いて用紙を汚しますし、高すぎるとインキが付きません。
版(活字)のインキの様子と刷り上りを観察しながら、左右あわせて4箇所のネジを1/8から1/16回転位の微妙な調整を根気よく繰り返します。

そして圧胴の仕立てです。
まずはメーカー標準のブランケット、白板紙、トップシートの組み合わせからテスト。
これでバッチリ印刷できるようになりました。
しかしその後、果てしない試行錯誤が始まる事をこの時は気付いていませんでした。

整備完了!

6月7日からは、海外のレタープレスショップで見掛けるような、インキが乗った部分に印圧を感じる印刷(Debossing)にチャレンジです。
最初、樹脂版を使っていましたが、一定以上の印圧を掛けると版が押しつぶされて書体が太ってしまいます。そこで亜鉛版に変更して再テストしてみますが、どんどん印圧を掛けていっても、イマイチの仕上がりです。
押しが足りないか、裏まで醜い凹みが出るかの両極端になってしまうのです。
そのうち、どこまで印圧を掛けて良いのか不安になってきます。
本来の活版印刷は、印圧を極力感じさせないキスタッチと言われる印刷が高品質の証とされていました。(極端な印圧は、印刷会社にとっての財産である印刷機と活字を消耗させるからという理由でもあり、海外でもDeepimpressionについては今も賛否両論分かれています。)
すなわち、紙を変形させる程の印圧での使用を、印刷機メーカーは想定していなかったはずだと考えた訳です。

そんな折、埼玉のオーナーから譲り受けた別の活版印刷機が6月9日に電気工事を終えて稼動できるようになりました。こちらの機械は箔押しと型抜きも出来る仕様ですので、印圧に関する不安はありません。そこで、こちらの機械でDebossingのテストを引き継ぐ事にしました。
そして圧胴と英語との格闘が始まるのです。

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