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活版印刷

これは趣味なのか仕事なのか

Yです。
実は手フート(手キン)と呼ばれる手動式の活版印刷機も持っています。
3年ほど前に福島県から引き取ってきました。
なぜ今まで黙っていたのかというと、道楽と思われるのがいやだったからです。
でも、告白します。
「好きなんやし、しゃあないわな」

これも鋳物製なので、見た目以上に重たいです。
インキや油汚れを綺麗にしたくて掃除を始めたのですが、洗いやすいのでどんどん分解していきます。

思った程きれいにならなかったので、塗装を剥離して再塗装することにしました。

朝少し早く出社して、始業までの僅かな時間で作業します。

この後、組み立てと調整です。完成まで半年も掛かってしまいました。

丸い円盤部分にインキを載せます。
この画像ではインキローラーを外していますが、ローラーは2本だけで極めてシンプルです。
でもローラーが少ない分、ベタは苦手です。
用紙の出し入れも、印圧を掛けるのも全て手動です。
生産性は全く期待できませんが、他の機械に比べると安全性はバツグンだし、操作も難しくありません。

これに目をつけたスタッフ達が、社内ワークショップ開催のリクエストを出してきましたので、企画することになってしまいました。
社員教育の命を受けた手フート君は、もはや道楽の対象では無くなりましたとさ。
めでたし、めでたし。。。

苦悩の日々

Yです。
風車(Windmill)のお話の続きです。
標準の印圧でOKシートを出せましたので、さらに印圧をかけていきます。
用紙はコットン100%のペセソレイユを使いますが、なかなか思うような凹みが出来ません。
またさらに印圧を加えていきますと、写真では判りにくいですが、用紙の裏面に凸状の跡がくっきり出来てしまいます。
エンボス加工のような凹凸ではなく、もっさりした感じで好みではありません。

そして、右側のように、文字が太ったり、アミがつぶれたりして汚れてしまいます。
左側は昨日刷ったものですが、ここにたどり着くまでに2週間の試行錯誤が必要でした。

 「DeepImpression」,「Heavy Impression」,「Debossing」,「Packing」などのキーワードでWebを検索していると、いくつかのヒントがありました。

まずは、用紙。Craneの「lettra」という銘柄は、コットン100%の中でも特にレタープレス向けのおすすめ銘柄として推奨されていました。
残念ながら国内への輸入は無いようなので、現在個人輸入に挑戦中です。
http://www.neenahpaper.com/cranepaper/lettra/home.html

用紙を濡らすというアドバイスもありましたので、スチーマーや霧吹きを使って試してみましたが、効果を感じることは出来ませんでした。

やはり胴張りが一番のポイントのようです。
硬く仕上げるのが良いみたいです。
素材の情報はありますが、具体的な組み合わせは誰も書きません。
「自分でやって、経験してみな」が先輩諸氏の回答です。
http://www.hevanet.com/ashiogi/packing.htm
http://www.briarpress.org/15262
http://order.nagraph.com/tympan-press-packing.html

トレペ、上質、板紙、わら半紙、PET、ユポ、塩ビ等を組み合わせてテストをします。
同じ組み合わせでも、重ねる順番を変えるだけで微妙な変化がありますので、内容をきちんと記録しておかないと訳がわからなくなってしまいます。
いろんな組み合わせを試すうち、ようやくイメージ通りの凹みを作れるようになってきました。

裏面に印圧の跡が出ないパターンと、若干印圧を感じる程度のパターンができました。
後者のパターンの方が、手にとった時に印圧の印象を強く感じるので好きなのですが、胴張りの選定が難しく、デザインの内容や用紙の種類によって見直す必要がありそうです。
キャリア60年の大先輩が、「一生勉強さ」と言うのもわかります。

最後のポイントは、インキ付けローラーと版の接触圧の調整を再度見直し、版をこまめに清掃する事です。
他にも固めのローラー、平圧式の特性を考慮したインキを使うと良いそうですが、こちらはまだ試せていません。
まだまだ研究の余地はありますが、一応満足のできる結果が出せたので今回のテストを終えることにします。
後は実践あるのみです。それでは修行の旅に行ってきます。

テスト印刷

Yです。
風車(Windmill)の試運転も終わりましたので、いよいよテスト印刷です。
まずは圧胴の胴張りをします。
金属製の圧胴の上に、薄紙、板紙、薄いゴムなどを組み合わせ、印刷する用紙を含めて0.04インチ(約1mm)の厚さにします。

風車(Windmill)は平圧式の印刷機ですので、版面も圧胴も平らです。
2本の円筒(ブランケットと圧胴)の間に用紙を通すオフセットとは全く異なりますので、勘所が全くわかりません。
マニュアルには、文字ものは硬めの仕上げ、アミがある写真などは薄いゴムを組み合わせて柔らかく仕立てると書いてあり、素材の実物サンプルも綴じてありました。

「硬い」とか「柔らかい」の感覚がよくわかりませんので、まずはコピー用紙で1mm厚に仕立てました。

次にインキを少しづつ出して、ローラー全体に馴染ませていきます。
ここでインキ出しすぎてしまうと、白紙をローラーに巻きつけて余分なインキを取るか、ローラーを洗浄することになりますので、とても面倒なことになります。慣れるまでは慎重にいきます。

インキの準備ができたら、版をセットして印刷開始です。
最初はインキを少な目、印圧を弱めにして印刷ムラを観察します。
インキを盛って印圧を掛けると、判らなくなってしまいます。
ティッシュ1枚分の僅かな高低差でもあれば印刷ムラが出てしまいます。
ムラを取るには、印刷版か胴貼り紙のどちらかの印圧の弱い部分に薄い紙を貼るか、印圧の強い部分を削ることになります。
樹脂版と金属版を使う当社では、胴貼り紙にティッシュや新聞紙を貼る方法をとります。
均等に印刷されるのを確認してから少しずつ印圧を上げていき、合格点のシートが出せました。

Briar Pressを読んでいると、「胴張り(Packing)は一生勉強」と60年のキャリアを持つオペレーターが言っていました。
まだまだ研究の余地はありますが、今回のテストの目的は別にありますので先に進む事にします。
さて、いよいよオールド印刷機 その後でお話していたDebossingに挑戦です。

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