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情報・ニュース
テスト印刷
Yです。
風車(Windmill)の試運転も終わりましたので、いよいよテスト印刷です。
まずは圧胴の胴張りをします。
金属製の圧胴の上に、薄紙、板紙、薄いゴムなどを組み合わせ、印刷する用紙を含めて0.04インチ(約1mm)の厚さにします。
風車(Windmill)は平圧式の印刷機ですので、版面も圧胴も平らです。
2本の円筒(ブランケットと圧胴)の間に用紙を通すオフセットとは全く異なりますので、勘所が全くわかりません。
マニュアルには、文字ものは硬めの仕上げ、アミがある写真などは薄いゴムを組み合わせて柔らかく仕立てると書いてあり、素材の実物サンプルも綴じてありました。
「硬い」とか「柔らかい」の感覚がよくわかりませんので、まずはコピー用紙で1mm厚に仕立てました。
次にインキを少しづつ出して、ローラー全体に馴染ませていきます。
ここでインキ出しすぎてしまうと、白紙をローラーに巻きつけて余分なインキを取るか、ローラーを洗浄することになりますので、とても面倒なことになります。慣れるまでは慎重にいきます。
インキの準備ができたら、版をセットして印刷開始です。
最初はインキを少な目、印圧を弱めにして印刷ムラを観察します。
インキを盛って印圧を掛けると、判らなくなってしまいます。
ティッシュ1枚分の僅かな高低差でもあれば印刷ムラが出てしまいます。
ムラを取るには、印刷版か胴貼り紙のどちらかの印圧の弱い部分に薄い紙を貼るか、印圧の強い部分を削ることになります。
樹脂版と金属版を使う当社では、胴貼り紙にティッシュや新聞紙を貼る方法をとります。
均等に印刷されるのを確認してから少しずつ印圧を上げていき、合格点のシートが出せました。
Briar Pressを読んでいると、「胴張り(Packing)は一生勉強」と60年のキャリアを持つオペレーターが言っていました。
まだまだ研究の余地はありますが、今回のテストの目的は別にありますので先に進む事にします。
さて、いよいよオールド印刷機 その後でお話していたDebossingに挑戦です。
トラブル
【しろ】さんからUV印刷機のレスキュー依頼がありました。
以前から固かったナットを、ついにナメてしまったそうです。
機械いじりが大好きな男の子(?)としては、ここは見せ場です。
My工具箱からタガネとハンマーを取り出し、ナットを叩きますがビクともしません。
印刷機にあまり強い衝撃は与えたくないし、平静を装っていますが内心あせり始めます。
しばらく悩んでいるうちに、ナットを割って壊す「ナットブレーカー」という秘密兵器を思い出しました。
そして数分後、プライドは無事保たれることになりました。
「愛情をもって整備していれば、印刷機は必ず応えてくれるヨ」と格好つけた次の日のことです。
風車(Windmill)の印刷準備をしていると、ローラーの左側に全くインキが出てきません。
順に点検していくと、インキを供給するローラーのバランスが悪いようです。
調整を始めた時、そのローラーを支えている金属の部品がパックリ割れているのを見つけました。
そのせいで、本来あるべき位置を外れてしまったようです。
前回の清掃の時に、ひび割れた部品に止めを刺してしまったのでしょう。
早速パーツの手配にかかります。
まずパーツブックで部品の品番を調べてからメーカーに電話しますが、いつもの担当者が休みで、なかなか話が通じません。
何せ40年以上も昔の機械ですから、サポートする側も大変だと思います。
パーツが出るだけでも感謝しなくちゃいけませんね。
その日のうちに発注を済ませたかったのですが、出掛ける時間になってタイムアウトです。
国内に在庫があれば良いのですが。
風車(Windmill)という名の印刷機
Yです。
なぜ、アメリカでは風車(Windmill)と呼ばれているのでしょうか?
機械を観察してみます。
ORIGINAL HEIDELBERGと書かれた大きな金属の板と関係あるのでしょうか?
赤いボールも、とっても気になります。
はじめてWindmillが動くのを見た時、予想外の動きに大変驚きました。
用紙を掴んでいるグリッパーという部分が、ぐるぐると回転するのです。
その愛称の由来となったのは、このグリッパーのアクションでした。
結構速く動くので、正確な動作を理解できるまで少し時間がかかりましたが、コマ送りで見ると良くわかります。
これがグリッパーです。
隠れていて見えませんが、反対側のグリッパーでは印刷を終えた用紙を掴んでいます。
グリッパーは、向かって左に回転していきます。
さらに回転して、左のグリッパーは用紙を掴む準備をします。
右のグリッパーは、印刷を終えた用紙を掴んで排紙台に向かいます。
左のグリッパーが次に印刷する用紙を掴みます。
右のグリッパーは、間もなく用紙を排紙台に落とします。
さらに回転して用紙を印刷位置まで運びます(最初の画像の位置)。
この時、圧胴が用紙を版(または熱板or抜き型)に押し付けて印刷完了です。
給紙のトラブル等で用紙を掴み損ねたまま印圧を掛けてしまうと、胴刷りと言って圧胴を覆っているシートに印刷をしてしまい、次の用紙の裏面を汚してしまいます。
機械を止める際は、まず印圧を抜いてから給紙を止めないと、胴刷りをしてしまいます。
慣れるまでこのミスは結構やってしまいました。
ORIGINAL HEIDELBERGと書かれた大きな金属の板は、オペレーターがグリッパーに当たらないようにガードする役目と、緊急停止のスイッチを兼ねた安全装置です。
赤いボールは、印圧をコントロールするレバーで、印刷中にも細かな調整が可能です。
操作系は非常に無骨な印象ですが、永らく世界中で使い続けられている実績が証明している通り、大変合理的に設計されているなと感心させられます。
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